階段から落とされそうになった話

過労死・ブラック企業多事総論

過労死・ブラック企業の口コミ・経験談・アドバイス0016そもそも求人誌を見てその場で電話をかけて、すると担当が出て「じゃ、今からすぐに面接に来ますか」と言われ、やった、やっと仕事にありつけたとぬか喜びで○○社に走って行った私がバカでした。
○○社の求人にはリフォーム営業と書かれてあり、またその給料が破格の20万円~でした。
当時の大卒の初任給が13万円程度でしたので、約倍の値段です。
おまけに成績次第でいくらでも給料アップと書かれていました。
失業3か月目の私にとってこれほど嬉しい事はありません。
どれほど嬉しかったかと言うと、お金もないのにタクシーで行こうかと一瞬思ったほどの嬉しさでした。
○○社は繁華街の超一流ビルの8階にありました。
もしかするとあと数日でここで働く社員になるのか、そう思うと胸もワクワクして思わず合格を祈りました。
エレベーターを降りるとすぐ正面に豪華な○○社のマークがあります。
そしてその横には受付嬢が座っています。
まさか、受付嬢のいるようなところで働けるのだろうか、嬉しい反面、自分がもしここに採用されればこんな立派な会社でやって行けるのかと不安になりました。
受付嬢は本当に綺麗な女性で物腰も丁寧で「ご用件をお伺いします」と私に問いかけます。
面接に来ましたと答えると、すぐに社内電話で担当を呼んでいます。
しばらく待つと見るからに頭のよさそうなスーツ姿の中年の紳士が現れました。
そして私に一礼すると、さあ、こちらへと案内してくれます。
面接室に通され履歴書を渡し、幾つか質問を受けました。
内容は「はじめは全員、テレアポから入るがテレアポの経験はあるか?」
私はテレアポどころか営業職そのものの初めてでしたので正直に経験はないと答えました。
続いて「家族関係」「住まいは持ち家か賃貸か?」など、あまり営業と関係のない内容の質問の後、その面接官は「いつから働きたいですか?」とも聞いてきました。
普通は雇う側が採用日を決めるものと思っていた私は少し慌てて「出来れば早い方がありがたいです」と答えました。
するとその面接官は「では今から働きますか?」と言うのです。
あっけにとられた私はそれでも早く働きたい一心で「ぜぜひお願いします」と答えたのです。
すると面接官はすっと席をたって「じゃ今から行きましょう」と私を案内してくれます。
着いたところはアポイントルームと言う所でした。
男女合わせて約20人位の社員さんがいました。
年齢は比較的若い感じです。
面接官はそこでアポイントルームの責任者に私を紹介して帰って行きました。
アポイントルームの責任者は窓際の席を指さし「今日からあの席でアポイントを取って下さい」そして「サブリーダーが今からアポイントの説明をしますからしっかり聞いて下さい」と言ってまた自分の席に戻りました。
席について周りを見渡してみました。
私の横の社員さんは眼帯をしています。
さぞかし目が痛くて辛いだろうな、私はそう思ったのを覚えています。
そこでチャイムが鳴りました。
どうやら休憩のチャイムの様でみんなは一斉に電話を置きぼーっとしています。
そしてサブリーダーが少し大きな声で私の紹介をはじめました。
「今から働く○○君です。○○君、何か一言」。
今日からではなく今からと言う言い方が少しヘンだったので笑いをこらえながら「○○です。先輩に負けないように頑張ってきっと一番になります。よろしく」と大声で話すとどこからともなく失笑が聞こえてきました。私は少し調子に乗り過ぎたかなと思っていると、いきなり5~6人の社員が私を取り囲んだのです。そして何も言わずに力づくで部屋から出され裏の非常階段に連れて行かれました。
そして、先ほどの眼帯の社員がこう言いました。
「初日からナマ言うじゃん。おめえ、今日は○○さんがいないから助かったぜ」私はわけがわからず思わず「なにしやがるんだ」と叫ぶと、図体の大きい社員が「こいつみたいになりてえのか」と叫び返します。「○○さんに綺麗なストレートかまされたんだよ、こいつ」そう言って笑います。「まだ痛いか」「まだ目の奥がじんじんします」。つまりこの眼帯の社員はその○○さんに殴られたと言う事か……。
私もけっこう喧嘩っ早いので高圧的な社員たちに囲まれて「ここはヤクザの集まりか!」と言い返しました。するといきなり数名の社員に掴まれて非常階段の手すりの上まで持ち上げられてしまいました。
この時の恐怖は今も忘れられません。
「謝れ!」「謝れ!」とあちこちから罵声が聞こえます。
私は仕方なく「すみません」と謝り、やっと手すりから降ろしてもらいました。
もちろん、すぐに私はその会社を飛び出しました。
のちに○○に勤めた事のある人に聞くところによると、恐ろしい営業会社で競争が激しいため、いつもああやって新入りを威嚇しておくのだそうです。
そして入れ替わりも激しいので「いつから働く」ではなく面接に来た人は全員「今から働く」のだそうです。
逃げる様にエレベータに飛び乗った私に受付嬢がさも当たり前に深々と頭を下げた姿は今でも忘れられません。
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